BBS - デアイ

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ロッカーに押さえつけられた腕が痛い。

「蓮二?」

返事は返ってこなかった。そして、蓮二は俺の頬に触れる。その瞬間にみえた蓮二の瞳は暗く、表情が読めない。その瞳を見た瞬間俺の鼓動は早くなり、不安で体が震えた。あまりにも急な出来事に俺の頭は混乱した。うるさいくらいに心臓の音が響いた体が動かない声もでない。ただ蓮二に触られた部分が熱い。

(俺はおかしいのか……)

全身の筋肉が硬くなって体を支えるのがやっとだ。蓮二の指が下へ下へとくだっていくほど俺の思考は鈍くなっていく。蓮二の指が俺の腰骨へと触れる、俺は自身の中心がアツく熱を持ち始めるのを感じた。

(なんで反応してるんだ……だ、だめだ……蓮二に気付かれたら……)

蓮二の指がへそをなぞって更に下ろうとする。これ以上さわられたら気付かれてしまう。

「……れ…んじ、蓮二。やめろ。嫌だ!」

なんとか声を絞り出す。声をだすことぐらいしか出来なかったが。蓮二は止めてくれた、そしてその手が俺から離れるとすぐに俺はロッカーへと向き直り自分の変化をごまかすために着替えを再開した。ボタンを留める時に指先を見ると白くなっているのにきづいた。

(そんなに強く握っていたのか……)

 

体重を支えるためにロッカーをつよく握っていたらしい。後ろから蓮二の視線を感じる。蓮二はなぜこんなことをしたのだろうか。まるで俺の体を確かめようとしているかのような触り方。そうデータをとっているかのように……

(まさか、データをとっていたのか?)

蓮二なら俺のデータをとってもおかしくはない。

(俺は淫猥(いんわい)なのだろうか)

蓮二に触られるとが嫌ではなかった。むしろ……

俺は自分自身が平常と異なることを怖れた。そんな自分を蓮二に見せたくなかった。

 

 

 

蓮二は怒っているのだろうか部室を出てからというもの俺たちは一言も話してはいない。蓮二にあやまらなくては……だがなんと切り出そう……悩んでいるときに蓮二が話し出した

「……弦一郎。その……急にあんなことをして、すまなかっ

俺は蓮二が俺に謝罪しようとしているのがわかった。

 

(あやまるのは、俺のほうなのに……)

蓮二に気を使わせてしまったのがいやだった。

「悪かったな。その……できれば、ああいうのは先に……確認をとってくれないか。おまえは…データを取りたかったのだろうが、急だと色々……その、俺にも心の準備がある……。」

なんとか俺は蓮二が納得するようにいった。本当のことはいえない。蓮二に触られて自身が反応していたことなど言えるわけがない。

蓮二もそのあと笑っていた。だから俺はその時はそれで良かったのだと思ったのだ。

 

 

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